小林豊子きもの学院のきもの豆知識

きもの豆知識
浴衣

       

 

 

浴衣は夏の風物詩。夏祭りには各地で年々、浴衣に親しむ人が増えています。

普段きものを着ない人でも、夏の日の夕涼みの時には、何となく着てみたくなるのが浴衣です。

 

そもそも…

浴衣はもともと麻を素材にした湯帷子(ゆかたびら)のことで、平安時代の貴族達が風呂に入る時にまとったもの

です。その後、風呂上りに汗取りとして着られるようになり、江戸時代、木綿の普及とともに一般庶民の夏の普

段着には欠かせないものとなりました。

種類としては綿縮(めんちぢみ)・綿紅梅(めんこうばい)・有松絞り(ありまつしぼり)・中形(ちゅうがた)な

どがあります。

 

きつけのポイント…

・ウエストにタオル、または腰パットで補正をすると汗取りにもなり気持ちがよく、帯結びの姿もきれいになりま

 す。浴衣はだらしなくなりやすいので、スッキリと見た目にも涼しそうに着るよう心がけましょう。

 

衣紋はだらしなくならない程度にゆったり抜き、裾線は足のくるぶし位の長さで!

 やや多めにつま先を上げましょう。

 

帯は半巾の単帯、材質によっては小袋帯でもOK!

 

下駄は素足で履くので、自分に合った鼻緒を!

 

帯結び…

 蝶結び・貝の口・文庫結び・片花結び など

 

アレンジ…

・帯結びに兵児帯を使うとボリュームもあり、華やかになります。

・長襦袢を着て、なごや帯を使用することでカジュアルなお出かけの装いになります。

夏物

 

        

 

 

単衣の次に着るのが盛夏用のきものです。

暑い夏にいかに人目に涼しそうに見せるかという「涼感の演出」こそ本物のおしゃれ。

夏ならではのきもので、帯や小物の色もすっきりコーディネートしましょう。

 

●夏用きもの・・・冬物と同じように格式によってそれぞれ種類があります。

           透ける素材で、清涼感を織り方や文様で表します。

           素材は絽、紗、上布、縮、中形などがあり、長襦袢も好みにより

                           正絹や化繊の絽、紋紗、絽麻などがあります。

 

●夏用帯・・・通気性のある軽い地質のものが用いられます。

         文様や色彩も夏帯にふさわしい、涼しい印象を与えるよう配慮されています。

 

●夏用小物・・・礼装には絽や紗の白を基調にしたものか、淡い色挿ししたものを選びます。

         帯締めもレース組の涼しげなものを選びます。

 

 

衣替え

                           

 

四季があり、気温や天気の変化が大きい日本の風土に即した行事で、平安時代から宮中で行われていました。

衣服だけではなく、家具調度まで季節に合わせて整えていたそうです。

江戸時代に入ってからは、武家服制を中心に行われ、明治以降は公務に携わる人や学生などの制服誕生と同時に、

きものにも季節によって衣替えをする習慣がつくられました。

 

6月、9月には単衣のきもの着用になります。

単衣のきものは、透けない素材で、裏地を使わずに仕立てたものです。

6月は夏に向かって、涼しげな色や柄のものを、

9月は逆に柄や色味を秋らしくするのがおすすめです。

季節を少し先取りした着用がおしゃれです。

長襦袢と帯、小物はきものより早めに季節を先取りしましょう。        

 

盛夏の7月と8月は、薄物とよばれる透け感のある単衣仕立てのきものを着用します。

帯も透け感のある絽や紗、麻素材のものなど涼しげなものをコーディネートしましょう。

 

季節感のある柄できものを仕立てる時は、仕立て方にも注意しましょう。

 

 

 

夏の場合の喪服

6月、9月の衣替えの季節には単衣の黒五つ紋付きを着ることになっていますが、気候によっては袷でも絽でも構いません。

また季節がちょうどまたがっている場合は、長襦袢・帯・小物などで調節するとよいでしょう。

盛夏の喪服としては絽の五つ紋付きの黒のきものに黒の絽・紗のなごや帯を用います。

帯締め、帯あげは夏用のものを使いましょう。

帯の種類

 

 

 

 

・丸帯(巾/約32㎝ 長さ/約4m20㎝)

            礼装、正装用の最も格調高い帯。

    現在では花嫁、芸妓、舞踊の衣装などに用いられています。

    広巾に織ったものを二つ折りにして端を縫い合わせ、芯を入れたもの。

    両面に模様が入っています。

 

・袋帯(巾/約30㎝ 長さ/約4m20㎝)

            丸帯に代わる現代の代表的な礼・正装、晴れ着用の帯です。

      本袋帯と縫い袋帯の二種類ありますが、最近はほとんど別々に織った表地と裏地を縫い合わせた

             縫い袋帯です。

      表だけに模様があり、裏は無地か地模様だけになっています。

      丸帯より軽くて締めやすいのが特徴です。

 

・おしゃれ袋帯(巾/約30㎝ 長さ/約4m20㎝)

             おしゃれ着専用の帯で、織りのきものや小紋などに好んで用いられます。

       最近では両面が使用できるおしゃれな帯もあり、礼装用以外のほとんどのきものに用いられます。

 

・九寸なごや帯(巾/約30㎝ 長さ/約3m60㎝)

              お太鼓の部分はふつうの帯巾で、胴に巻く方は半巾になっていて芯が入っています。

              略礼装などにも使える格の高い織りの帯から、街着や普段着用の染めの帯まであります。

 

・八寸なごや帯(巾/約30㎝ 長さ/約3m60㎝)

               袋なごや帯とも言われ、芯なしで両耳をかがって仕立てられています。

               九寸なごや帯をさらに簡略にしたもので、一般的には九寸なごや帯より格は少し劣ります。

 

・腹合わせ帯(巾/約30㎝ 長さ/約3m60㎝)

             表と裏を布地・色・柄の違うものを二枚合わせ、芯を入れて仕立てた帯で、表と裏の組み合わせで、

             昼夜帯・鯨帯などと呼ばれています。

             両面使える楽しさがあり、おしゃれ帯として使用されます。

 

・半巾帯・小袋帯(巾/約15㎝ 長さ/約3m20㎝~3m60㎝)

              普通の帯の半分巾の帯を半巾帯といい、単帯と小袋帯があります。

              単帯は初めから半分の巾で織ったもので、普段着・浴衣などに用いられます。

              小袋帯は袋状に織ったもので、パーティー用、踊り用、普段着用と用途は様々です。

 

・掛下帯(巾/約25㎝ 長さ/約4m20㎝) /  ・抱帯(巾/約6㎝ 長さ/約2m70㎝)

              掛下帯は元々、江戸時代に武家の女性が礼装に用いた帯でしたが、現在は花嫁の打掛の下に締める帯として

              用いられています。

              抱帯はもとは打掛を止めるために使われていましたが、現在は花嫁衣裳や七五三の帯の下線に装飾用として

              用いられています。

 

・[男もの] ・角帯(巾/7~13㎝ 長さ/約4m) /  ・兵児帯(巾/40~90㎝ 長さ/3m20㎝~4m)      

               角帯は男性の礼装から普段着まで幅広く用いられる帯で、種類は芯を入れて仕立てる丸帯や袋帯に織られ

               たもの、厚い地風の一重ものなどがあります。

               兵児帯は男子や子供の帯で街着、普段着に用います。

 

《帯の柄の入り方》

   ◎全通柄・・・ 帯全体に模様があるのでとても華やかで、総柄、通し柄とも呼ばれています。

 

   ◎六通柄・・・ 帯の六割に模様が入ります。帯を締めるとき胴に巻く一巻き目の部分には模様が

                                 入っていません。

 

   ◎お太鼓柄・・・結んだときにお太鼓の部分と胴に巻いた二巻き目の前側に模様があります。

           お太鼓結び用として使い、とび柄とも呼ばれます。

 

《染めと織り》

   帯にも染めと織りのものがあります。きものとは逆に、帯は織りのほうがフォーマルになります。

   きものの種類や格に合わせて帯をコーディネートすることが大切で、きものよりも少し格の高い帯を

   合わせるとバランスがとれます。

   一般的に「染めのきものに織りの帯」「織りのきものに染めの帯」とされています。

   きものは織りより染めのほうが格が上、帯は染めより織りのほうが格が上のためです。

 

 

汚れ・シミ

                     

 

・ベンジン…きものの衿、袖口、裾の汚れを落とすにはベンジンが最適

                  です。乾いたきれいなタオルを下に敷いて、

                  ガーゼに上質のベンジンを含ませてたたくように、

                  またはつまみ出すようにして汚れをとります。

                  化粧汚れなどの軽い油性の汚れもベンジンで対処できます。

                  何度も使用したり、強くこすると色が落ちますので気をつけましょう。

 

・汗のシミ…霧吹きでできるだけ細かい霧をふきかけて、乾いたタオルで押さえて

                  湿気を取り、衣紋掛け(ハンガ-)に かけて

      風通しの良い所で陰干しします。

 

・泥はね…すぐこすらず、よく乾いてから軽くもむか、ブラシをかけてとります。

     しみこんだものは、固く絞ったタオルと乾いたタオルで挟み込むようにしてたたきましょう。

 

・食べこぼし…外出先での食べこぼしは応急処置として、ハンカチを水で濡らし、シミのついたところを

                     つまみあげてふきとっておきます。

                     ただし、牛乳など動物性タンパク質の食品や血液にお湯は禁物です。

 

あくまでも応急処置です。なるべく早く専門店にまかせましょう。

専門店に出す時は、シミ抜き・汚れ取りをするところにしるしをつけ、原因を知らせることが大切です。

 

 

                                

 

 

 

お手入れ

                                                                                                                         

 

・陰干し…湿気を含んだままたたんでしまうと、シミやカビの原因になります。

               脱いだきものや帯はすぐたたまないで、

               汚れがあったらすぐ始末し、30分くらい陰干しして風を通して

               おきましょう。

 

・洗濯…洗える素材はネットに入れて洗濯機の「手洗い」「おしゃれ着」などの

            コースで!

    洗剤もおしゃれ着用を使用しましょう。

    シワをのばし風通しの良い場所で陰干しを!

 

・桐のタンス…きものに桐のタンスが良いとされるのは、防虫、防湿、さらに火災に強いからです。

       また大変軽く、見た目も木の柾目が美しく日本人の感覚にマッチします。

       収納する時は畳紙(たとうし)に包んで収納します。

       ビニールやナイロンは蒸れてカビや虫食いの原因となるので避けましょう。

       重ねすぎはシワの原因になるので注意しましょう。

                     絞りや刺繍のきものは傷まないよう一番上に!

 

・ブラシ…きものに洋服ブラシは禁物。毛足が強いので生地を傷めます。

               必ずきもの用ブラシか、ビロードなどの柔らかい布で布目にそって汚れをとりましょう。

 

・虫干し…ひと昔前までは寒干し(1月下旬~2月下旬)と土用干し(7月下旬~8月下旬)を行いましたが、

     今は建物の関係で行う方は少なくなりました。

     日常あまり着る機会がなくても、せめて1年に1回は虫干しを!

     晴天が2~3日続いた空気が乾いた日を選び、直射日光の当たらない場所できものに深呼吸させて

     あげましょう。                                        

 

・帯のお手入れ…帯はハリ、ツヤが命です。

        使用の都度、ビロードで軽く拭くなどしてお手入れ

                        しましょう。

                        汚れによっては消しゴムでとれる場合もあります。